成り駒の話

知恵袋では、答え甲斐のあるお訊ねもあれば、ためにする質問もある。なかにはこちらが教わるような問い掛けがあるんだが、今日はひとつ謎かけのような疑問に「答え続けている話し」をさせて欲しい。

Q: one life to live one life to king.
これを日本語訳にすると、なんて言うんですか?
教えてください!

いかゞ?見知らぬ単語はひとつもない。ごく短くて、なにも深い意味はありそうもない「文章」じゃ。いや、じっと見ていると、これは文章じゃない。まともな動詞がないから節じゃない。そこで私は、こうお答えしたのじゃ:
———————————————————-
A: こまぎれで正確には掴めませんが、一見二つの部分が対照になっている:

one life to live ……. one life to king

構文的には間に and か ; があるものです。左右対照だから、右の king は動詞でなくてはならない。king の動詞は【成り駒で王になる】しかない。将棋などで駒が敵陣に入って金になったりチェスならクイーンになるなど。この場合、king になるという意味を暗示しているのかもしれない。

【ひたすら生きる人生、頭に立つための人生】

などという訳が思ひつく。ただ、何しろ材料が少なすぎる。この前後の文章を補足してくれればより的を射た回答ができると思う。
ご參考まで。
———————————————————-
こう答えた私に質問者はBA(ベストアンサー)をくれた。材料不足で「的を射ていない」とことわりはしたのじゃが、私は釈然としない、あと味の悪い答えじゃった。

そもそも king を意味上の動詞と考えるまでは文法に叶っているのだが、さて、king には自動詞がないのじゃ。「己が王になる」わけにはいかぬのじゃ。つまり、私の回答は苦し紛れの言逃れじゃ。

私はそれ以来この謎に取り組んで、いまだにまともな答えを見つけておらん。king に代はるsing、 ding、 ring、wing などの誤植を経巡ってみたが埒が明かない。自動詞でうまく機能するのがない。ing を諦めて kin を活かして語尾探しをしたが、とても自動詞は考えつかんのじゃ。

ためにする質問では?と放り出そうとして踏みとどまり、これを書きながらも、あれこれを思いを巡らせている。いつか、はたと思いつかも知れぬ。そのときは、質問されたご仁を探しだしてでも、お知らせせねばならぬ、と思っている。

ご機嫌よう

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