活性とリズム

日本語でも英語でも同じことなんだが、文章は不思議と活性の高いものと腑抜けたものがあるものです。「ここぞ」という状況では活性が高い方がいいのに決まっているわけだが、どうも思いつかない….なんとかスカッとした表現が欲しい、ということはよくあるものです。

ある日の「知恵袋」でnairobimilimaniという、ケニアっぽい(!?)ひとが「自信がありませんので」と、こんな質問をしていた。(まあ、日本人には違いがないだろうが….)

Q: 「教えてください、いつ私たちはもう一度浜辺を手を繋ぎながら散歩できますか」と伝えたいのですが…..
Please tell me when we can take a walk on the beach as I hold your hand once again.

 浜辺を歩いたあのときが忘れられない、いつかまた….という想いを伝えたいということらしい。見れば、nairobimilimaniさんは水準以上の英語の力があるようで、ミスがまったくない。このままでも、と思うのだが、状況を想像するともっと「味よく」言いたいらしい。

試しに書かれた文章は、たしかにミスはないが、淡々と言葉が続くだけで「息遣い」がない。言葉はいいのだが文章として活性がやや足りないようだ。リズム感も感じられない。nairobimilimani さんはそれに気付いて訊ねてこられた。

そこで、わたしはこんな具合に手直しをしたのだが、如何?

A: まず、最後のところ as I hold your hand という部分がちょっと生なだけでここを hand in hand with you とすればリズムが生まれ、you で締まる感覚がすっきりします。
.
この”on the beach”という句は、船員が失業して陸に上がっている状態を意味する船乗り言葉、つまらない連想(笑)されては厭だから by the beachとしたい。だからここは言葉のつながりから、walk by the beach hand in hand with youという流れにしたいですね。
.
「いつ歩けるだろうか」より「いつかそんな日がくるだろうか」みたいな雰囲気がいいと思う。Can I ever ~なんていいと思いませんか?
まとめると:Can I ever walk by the beach hand in hand with you again?
.
ご参考まで。

質問した人からのコメント: 降参、素敵です!本当にありがとうございました。

【ひと言】
英語でものを書くときは、日本語以上にリズム感を大事にします。この例の hand in hand with you などは、as I hold your hand の野暮ったさから逃れて三拍のリズムを狙っている。to and fro、top to bottom などの成句も、同様に文章全体の調子を左右することが多い。

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