梅雨が去るの記

なんとも水っぽい梅雨だった。本来梅雨は水っぽいもので、そこにえも言われぬ季節の味があると、英語版のホームページではJapan celebrates a seasonal charm of Plum Showerなどと気障(きざ)った手前、水浸しの梅雨には流石に恨みが残るのである。

恨みの極みは畑の惨状で、狙った作物のほとんどは雨にやられた。まず夏野菜の主役たちがえらい目にあった。茄子は一本が根腐れで倒れ、相棒の胡瓜も素直な出来ではなく、陽差し不足のためか丸まる奴が続出した。ひと蔓で120個は付くというメロンを5株植えたが、初手に二個付いただけでこれも根腐れ、当てが見事に外れていま半死半生の蔓が這ったまま放置されている。

「とれすぎメロン」という名の苗だったが…

それでも不思議な現象も起きてはいる。そもそも潅水は抑えて自力で地中深く水分を求めて根を伸ばすように仕立てるべしとするトマトが、この水っぽい梅雨を元気にしのいで見事な実を付けているのだ。ミニトマトとは思えぬ径4センチもの奴がブドウのようになっている。天からの水は掛けるなというトマトだが、ミニとはいえ堂々と天水を冠(かぶ)って育っている。トマト好きなわが家では、Plum ShowerならぬTomato Showerの恩恵を欲しいままにしている。

鈴なりのミニトマト

わが家の畑は措いて、世間では今年の梅雨の並々ならぬ爪痕が痛々しい。九州地方を痛めつけた集中豪雨は、人ごとならぬ災害だった。家が流され道路が寸断される騒ぎをメディアで見聞きするたびに、わが桶川が天下の理想郷のように思えたものだ。秩父の山は遥かに遠く元荒川とて2、3キロも離れている桶川に自然災害は人ごとのようだ。

梅雨には梅の樹と実が絡んでいる。わが家には昔からの花梅に加えて昨年植え込んだ果実梅が背丈を越えるまで成長している。春先に2、3個の実を付けて愚妻を喜ばせたこの梅の樹が自由に枝を張れるように、今年は隣り合わせの花梅を思い切って剪定している。梅は梅同士というから、2本の梅の樹の働きで来年はそろそろ漬けるに足る実を付けてくれるだろうか。

さしもの水っぽい梅雨がやっと去った。気温が一挙に30度を超え、湿った地面が見る見る乾く。地中は水っぽいが地表に育つ葉物は途端に萎(しお)れる。これから盛夏に至る日々、潅水が日課になる。水っぽさをこぼしながら水道代が助かるとほくそ笑んでいた愚妻が、これから盛夏を超えて九月まで潅水に気を病む日々が続く。

大きく育っているゴボウの葉

それにしても、Plum Showerとシャレのめした英語版ホームページに「水っぽい」話を書き足して置いた方がいいか、さすがにcelebratesは書き過ぎだったから、なにか一言とは目論んでいる。

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