「この道」

ネット時代という、傘寿を越えた私には摩訶不思議な時代に生きる身が、時に空に浮いているかと思う時があるものだ。

折々に、私は童謡や叙情歌、昔の古い歌謡曲などから「帰れソレント」まで、興が乗れば時を忘れるほど歌い込んで、物書きや翻訳の仕事疲れを癒す。家内が巧みに仕組んでくれたセッティングで、YouTubeの音源に載せて歌うのだが、これが思いのほか楽しい。

つい先日、たまたまショパンの幻想即興曲を鮮やかに弾く女性ピアニストのサイトに遭遇、いくつか知らぬ曲の伴奏もされておられる様子から、まずは無理を承知で山田耕筰の「この道」をねだってみた。空に浮いているかと思ったのは、その時だ。間も無くそのピアニストから「近く弾いてみる」との返事をもらったからだ。凄いことだ。昔には考えられない…..。

さて、今日のこと。なんと、もう「この道」が「お気に召すかどうか」とのメッセージを添えてアップされているではないか。早くも約束を果たしてくれたのだ。アップ数分後に気づいた私は、心からの礼を述べて早速に「鳴らしてみた」(アンティークな表現..!)。澄んだ音、申し分のないテンポとフレージング。いわばテーラーメイドのピアノ伴奏ができたのだ。折から、アメリカで内田光子さんが歌曲を伴奏してグラミー賞を取った。ひょんなご縁か、とほくそ笑んでいる。

さて、明日からの楽しみが増えた。しっかり歌いこんで、できれば記録して恥を忍んでこの好意あるピアニストに聴いてもらおうかと目論んでいる。あわよくば、「からたちの花」も「砂山」もねだろうかと思っている。

このピアニストはAUNT KANEKO と言われ、ただならぬ技倆の人だ。

https://www.youtube.com/channel/UCvl3S3G7TpULcn9g95Z-0Nw

○○もミソも混じるネット社会に、これは清涼感溢れるサイトだ。自分でHPを育てながら思うのだが、訪れるに価値あるものとして、このサイトは鏡だと思えるのだ。

ネット時代。こんな時代まで生き延びられた幸せをしみじみ思う昨日今日である。

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