コロナ放談

仲間の老爺がふと呟いた:

「おい、このコロナ騒ぎ、どう見ても尋常じゃないぜ」

尋常じゃないのひと言に惹かれてなぜと問ひかけしたことから、奴さん、いっとき変哲な、だが的を射たかのコロナ談義をひけらかした。これは、その折の彼の語りを体よく端折ったものだ。当否真偽のほどは筆者の知るところではない。

「しかし困ったものだな、このコロナ。与太者の夜遊びじゃあるまいにナンパ、ナンパと波が来て、その都度、出るな集まるなと周りが騒ぐ。こんどの波はコロナの別口のせいだとか、なんだい、また一から出直しかい?」

「・・・」

「そもそもねえ、あの最初のでかい船の捌きを間違えたんだよ。あれが横浜に寄ったときに、密閉状態で治療を徹底すれば良かったんだ。結果論だがよ、乗客には気の毒だが、ひと月と言わず免疫ができるまで閉塞状態を保ちゃあよかったんだ。ものはヘリなりドローンで運んでさ。」

「・・・」

「側で見てゐると考へが真っ二つだ。もう免疫ができてゐるんだから、程々で歩いたほうがいいと唱へるひと群れがをり、まずは蔓延抑へるんだ、あんみつ、いやサンミツだソシアルダンス、いやディスタンスだと人の動きを抑へに掛かる別の群れがゐる。後の方の意見を取り上げて「然るべき措置をとる」のセリフを繰り返す政府。いったいどっちがまともなんだい?」

「・・・」

「そうそう、オリンピック。こんな騒ぎでできるわけないでしょ?金銀銅のメダルに『コロナ・メダル』かなんか出してさ、とんだお笑ひだ。無理矢理やらうといふ群れがゐるやうだが、やらないと余程困る事情でもあるのかい?あるなら聞かせてくれ。」

「・・・」

「思うんだが、なんで日本は自分でワクチンが作れないの?私しゃ物知らずだがね、北里柴三郎って疫病の先生の偉い仕事ぐらいは知ってゐる。病院まで残した世界的な疫病の大家だね。コロナってな疫病だらう?北里博士の伝統はワクチン作りに活きてゐないの?私にゃこれがミステリーだね。どう思ふ?」

「・・・」

「いま大阪で感染者が四桁で高止まりしているらしいね。東京も危ないからって、例のポピュリストの女知事がナンパナンパ、女でナンパは飛んだ洒落だがね、ミツミツやっている。どうもね、この感染者数の増へ方は蔓延とは別になんとか検査、P何やら検査のやり過ぎもあるんじゃないの?余計調べりゃ余計結果は出るさ。良くも悪くも、ね。

それにさ、死ぬ人もコロナのせいか老衰か、他の原因で死期を迎えたこともあろうじゃないか。どうもねえ、出てくる数字を額面通り信じかねるね。

「・・・」

「そうそう、いま評判の高いあの台湾ね。あの島は昔疫病の巣だったのだそうだ。日本の統治で住めるようになった。なったどころか、いまはコロナ制圧のチャンピオンだ。本家の日本がワクチンも作れずに右往左往するのは絵にならねえ。どう思ふかね?」

そう念を押されて、なるほど、一理あるなと納得。中でも、北里なのになぜワクチンが、のくだりは、大きく頷いたところだ。日本は別枠の文化国家、このコロナ騒ぎもいつか世間話になる。その頃は、見事ワクチン大国への緒についてゐる日本を見たいものだ。

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