ラグビーブームの余慶

ワールドカップでベストエイトに進出したことで、ラグビー人気に火がついた。其処に至る賢い根回しがあって、ことあるごとにラグビー、ラグビーと話題の盛り上げが演出され、ややマイナーだったこのスポーツの魅力がじわじわと巷に浸透してゐた。

サッカーの浦高(どうやら今は伝説になってしまっているが)が母校の私としては、ラグビーに血道を上げる気にもなれなかったが、何年か前に何の拍子か浦高のラグビー部が花園へ行くと云ふ事件があった。花の狂い咲きほどに受け取ったのだが、いま巷のラグビー騒ぎを見ると、あれは先触れだったに違ひない。その証しか、何と、浦高のラグビーが今年また花園に行き、しかも歴史的な初勝利を成しただけでは飽き足らず、2回戦も制しベスト16の快挙を遂げたのだから、このブーム、どうやら伊達ではない。

↓webSportiva 記事
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/otherballgame/rugby/2019/12/29/___split_72/index.php

伊達ではないのは、この上げ潮に乗ってラグビー界が新しいリーグを目論んでゐるからだ。ワールドカップ以来、空だったスタンドにいま観客が群れてゐると云ふし、その観客層に女性が増えてゐるとも。何かにつけて華やかなアメフットとは違ひ、肉の塊がぶつかりあうラグビーに女性が群れると云ふことが、現象的にまゆつばに思へるのだが、たしかに増えてゐると云ふ。これは、ひとつの文化史的な出来事である。

大袈裟なと云ふ勿かれ、これはまさに画期的な出来事、それも良き方向への出来事だと私には思へる。

それはこういうことだ。

ここ数十年、日本の社会は滔々と女性化してゐる。女性の社会的参加が進み女性を守る環境改善が叫ばれるなか、セクハラなる社会基準が広く流布、その延長になにハラかにハラと社会生活のパラメーターに縛りの因子が絡まってきた。

その影響か、男性の振る舞いに多分に女性への阿(おもね)りが見られるやうになり、女性へのいたわりの気持というよりは、次第に媚びる風潮が芽生へてきてゐた。

媚びるとは穏やかではないが、さして的外れではない。それと云ふのも、昨今若い男どもに体毛を剃る輩が増へているらしいのだ。髭剃りは云ふに及ばず、脛や二の腕の毛を剃ったりクリームで除毛したりしてゐる。何とも怪しからん風潮だが、それも女性優位の社会に適応する策と思えば分からんでもない。LGBTやらが世に憚らぬ時代となれば、まあ目くじらを立てるまでもなからうとおもってゐたが・・・。

其処へきてラグビーの復権、女性たちの時ならぬ熱狂だ。脛毛は愚か体毛だらけ、むきむきの男どもの集団がぶつかり合ふ姿は阿る媚びるの話ではない、女性なら目をも瞑り背を向けるかと思ふスポーツに、いま何とおなごどもが群れてゐると云ふではないか。すこぶる愉快な現象だ。

言葉を換へれば、これはむくつけき男の子(おのこ)どもを嫋(たお)やかな女子(をなご)どもが憎からず思ふ、と云ふ風情、これは大いに痛快な社会現象だ。かねてから女性上位の潮流を脇目で見ていた私には、かくあるべしの感が深い。ラグビーブームの思いがけぬ余慶である。

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