雛と花に埋まる町

鴻巣は人形の町、岩槻と並んで武蔵屈指の人形が息づく町だ。わが庵から北へ8キロほど、中山道の一つ北の宿場町だ。雛祭りを控えてこの町はいま隅々まで大小様々な雛人形で埋まっている。

例の巨大な雛のピラミッドが組み上がったとの知らせに、春めく陽気に誘われて車を出す。云わずと知れた雛と花の曼荼羅を見物しようとの目論見だ。そう、鴻巣は花の里でもある。日本有数の花の産地とあって、この季節の鴻巣は雛と花に溢れる。

先ずは花より何とやら、他人様の噂を真に受けて寄ったうどん屋は世辞にも褒められぬ味、敷地内に設えた雛壇の人形たちの愛らしさがせめてもの口直し。わが町、桶川が誇る「べに花ふるさと館」の田舎汁うどんの味を見直すこと頻り。

うどんを補って別棟の人形館は見事だ。床の間から溢れ出た雛たちは、畳に廊下に所狭しと並んでいる。踏まぬようにの気遣いは、つるべ取られた加賀千代女の想いが偲ばれる。

 

パンジーハウスは鴻巣きっての花の館だ。入れば、のっけから高さ3メートルほどの雛のピラミッドが出迎える。ここは花の苗が多彩で値段が手頃、1000円買えば福引きとの誘いに乗って数株求める。引いた福引きが銀賞とて、300円分の株をゲットした愚妻の満面の笑顔がまた一輪の花。

 

さて、お目当ての巨大ピラミッド雛壇へ。これは一見の価値ある見物(みもの)である。高さは7メートルとのこと。何と31段、総勢1830人の雛たちが居並ぶ。壮観である。ご当地のお年寄り2人が頻りにその曰くを語ってくれた。わが桶川にはこれほどの立派な雛は居らぬと褒めちぎれば、さもありなんとほくそ笑む様がご愛嬌。

 

数刻の鴻巣詣では雛も花も見事だった。有様はご覧の写真にご想像願おうか。求めた花はプリムラ、ラナンキュラスなど、頃はよし、わが庵の花壇を賑わすはずだ。

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