大山鳴動して、さて・・・

巷がコロナで掻き回されて、マスクだ三密だと人の目がなんとも落ち着かぬ。そのせいもあってか、普段なら滅法面白く意味ありの話題が一向に口の端にかからない。そのひとつ、某二人のネット上の諍(いさか)ひがなかなか味なもので、本稿ではその話を少し彫り込んで見たい。

この諍ひ、これが古稀も越へなん老人と30になるかならぬ女子(おなご)の取っ組み合いだから大いに面白い。言葉に五月蠅い、いや繊細な筆者には、これが言葉遣いを回るものだけに面白味は一層深い。当の老人は相手の仕草を捕へて、やってゐることが日本人らしくない、真人間になれとこき下ろし、果てに慰安婦の様な嘘をつくなと言ひ放つなど云ひたい放題。相手の女な子はこれを許せぬ誹謗中傷として謝罪を求めて眉をつり上げてゐる、とまあこんな図柄なのだ。

この老人とは、何を隠そう行動右翼として知る人ぞ知るチャンネル桜の水島聡氏、当の女性は沖縄で言論空間を糺す運動で知られる我那覇真子嬢だ。公開討論会で筋を通したいと云ふ処までヒートアップしてゐるから尋常ではない。水島は関係者総出でと云ひ我那覇は一本勝負だと譲らぬ。時ならぬ公開討論に至る攻防夏の陣が展開してゐるのだ。

ここに至る経緯は複雑だ。背景を詳細に語る紙幅もなし、根掘り葉掘りの野次馬性も皆無だから、ここは筆者の思ふ処だけをお聞き頂き、読者には興味が沸けばサイト上をググって頂ければ、裏の事情もご承知いただけやうと思ふのだ。

話の図柄を一瞥すると、一連の騒ぎの過程で水島氏が吐いた暴言が原因なのだ。暴言ならぬ罵詈雑言とも云へよう氏の言葉遣ひに含まれる毒が禍をしてゐる。「真人間になれ」「慰安婦面をして嘘をつくな」などなどの刺激的な言葉がそれだ。ご存知、異様な沖縄の言論空間に浸りながら保守の砦を守らんと努める人間に「真人間になれ」はなからう、と云ふ話だ。古稀の年寄りから見ればまだ頑是無い女な子に「慰安婦」なる字面と語感が耐え難からうことは痛いほど分かる。使った意味合いの如何を言い募っても意味がない。そのやうな言葉を吐いた、その生理的行為そのものが批判されなければならない。

筆者は、かう進言する。

チャンネル桜を背負う水島氏には行動保守を率いる自負があり、社会的な面子がある。彼が残した軌跡は歴然として残ってゐる。南洲を慕ふ気宇壮大も分かる。分かるだけにここは一番、小を捨てて大に就く、生理とは云へまごうことなく吐いた暴言を羞じ、劃然として謝して歩みを大道に戻して欲しい。

我那覇嬢には、時を失う勿かれと戒めたい。戦国時代、敵城を落とすとき落ち武者のために道を造ったと云ふ。水島氏には社会的な面子に加えて男のそれがあることを、努々忘れてはならぬ。暴言を謝られたとき、それを昂然と受けてはならぬ。流石は水島さんよとの余韻を残す雅量を持つことだ。むしろ、ならば再び桜に戻って粉骨砕身努めるほどの言葉が返せれば、あなたの人生には大輪の花が咲き誇ること誤りなしだ。

現実に戻れば、それは幻想かも知れぬほど状況は入り組んでゐる。国の弥栄を願い、国民の安寧を何より願ふ筆者にして、健全保守が歩調を乱すことなく歩むためにも、我那覇嬢を含む心ある若者たちを督励することこそ肝要だ。この水島我那覇論争が、大山鳴動してなんとやらになれば、大いに悦ばしいのだが。

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