いま風が吹いてゐる。只ならぬ風が吹いてゐる。
季節風にしては時期外れ、病のカゼなら例の流行り病か、紛れもなくいま一陣の風が滔々(とうとう)とこの国に吹き込んでゐる。この風は、云ふなら眠り惚けるものをグッと起こすほどの迫力で、マスクで覆面し放心状態の日本人を吹き起こしてゐるかの如くだ。耳を澄ませば、この風は頻(しき)りにものを云ってゐる。目覚めよ、目覚めよ、と呼び掛けてゐるやうだ。目覚めよとは?
風聞とも思へぬ風の語りがさらに続く。
先の大戦で敗れたかに見える日本は、実は勝利していたと云ふ。惨禍を被ったはずの大東亜の国々は植民地支配から逃れて独立した、それは日本人が血で購(あがな)って国々に手渡した贈り物だ、と風は云ふ。満身創痍の日本は占領下、己れの歴史を否定され、佳き伝統を無きものにされ、教育制度を蹂躙され、道徳心を剥がされ修身する術(すべ)を一切失ってなお慇懃自重の年月を過ごしつつ来るべき独立の日を待った、と。
近隣の東南アジア諸国はそれぞれに自由民主の理想を目指す途上を先んじてゐた。そして1951年、桑港(サンフランシスコ)平和条約締結で独立、日本は己れの自立を目指して新たな一歩を踏み出したのだが、無念、日本はその第一歩を踏み出し損なった、と風は云ふ。要(かなめ)の国法たる憲法を占領国アメリカの云ふに任せ、鯔(とど)のつまり国守の術を自ら放擲(ほうてき)して贖罪の年月を送ることに同(だう)じたのだ、と。
爾来日本は同盟国の傘下に安住し、一切の自助努力を自ら放棄して、政治経済社会その他あらゆるセクターに自力の行使をせぬ主義を貫きいまに至る、と風は云ふ。然(さ)もありなん、日本は過去数十年間の長きに亘り経済的利潤は一切他国に流出せしめ、働き者たる日本人は労働の利益をほとんど受けぬままその年月を黙然と過ごしてきた、と。
その年月の経営を国は誤った、と風は声高に云ふ。日本国民にそれと伝えることなく、政府は同盟国アメリカの言ひなりに「傘下政策」の追従に終始した、その結果日本の経済は蚕食され、産業は撹乱され、哀れ、国土さえ蚕食される憂き目になってゐる、と。
日本人よ、目覚めよ、と風は絶唱する。
子や孫に引き継がせるに、このやうな日本でいいのか、と云ふ。教育を刷新せよ、文科省は解体してもよし、と。終戦直後、強いられた粉食の害が今になってガンの多発にまで影響してをる、日本人は米食に戻り、自然を尊ぶ生活文化を取り戻せ、とも。日本人は挙(こぞ)って目覚め、縄文以来の、大和魂に根差した麗しき日本人の生活文化を取り戻そうではないか!
日本を取り戻す、と云った内閣が十年も続いたのに、その間日本人はこつこつと勤勉に働いたのに、いまも日本は取り戻されてなどゐない、ゐないどころか逆に悪くなってゐる。これでいいのか、日本人よ目覚めよ、と風は訴える。
党を問わず、いまの国会議員たちはみな虚(うつろ)で、世論に斟酌して曰く、「世論がその気にならねばわれわれは動けない」とまで嘯(うそぶ)く。何たる怠慢、何たる欺瞞。党を選ばず、いまの議員たちは選挙対策にのみ走り、マツリゴトなど一切脳裏にない。いまこそ日本人が目覚めて、彼らをゆり起こさねばならぬ、と風は叫ぶのだ。
その風に吹き曝されて、かつて票を投じることに無関心だった俗に云ふ無党派層が、いま、沛然(はいぜん)として目覚めてゐる。投票率を二分する一方の隠れ有権者たちが、いま、この風に吹かれて覚醒してゐる。縄文以来の大和心にどうやら火が点いたらしい。
時の政府の愚策から高が風邪に右往左往、マスクとワクチンに踊らされる日本人は、いま、世界の嘲笑の的だ。物思ふ日本人にはこれが何とも恥ずかしいが、狭い日本には隠れる穴もない。
さて、この只ならぬ風は、七月に迫る参議院議員選挙までいや増して吹きまくる。この風の正体は「参政党」、一昨年結党したばかりの新党だ。心ある日本人は、いま、決断を迫られてゐる。政治心あるものは心を引き締めて、未だ惰眠を貪るものはこの風を胸で受け止めて、劃然と目覚めて欲しい。参政党よ、幸あれ!
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