as soon as が見えない

なにも英語には限らないが、ものごとは「ひとつ分かればみな分かる」ということが、往々にしてあるものだ。ここは英語の部屋だから、英語について言えば、例えば as 〜 asという馴染みの奴。あちこちに as soon as possible など、手垢のついたあの慣用句だ。

だが、asとas の間に挟まるものが単語じゃなくて、句などがくると途端にフリーズしてしまう。それも、文脈の加減でこのas 〜 as が連続して出ようものなら、真っ白になる。そういうものだ、と言いたかろうが、私の講釈ではそれがひと味違うものになる。

as 〜 as に冒されたご仁がおられて、知恵袋でこう尋ねてこられた:

Q ご教授お願いします。
英文訳・文構造の解説お願いします。

And if we are the gift, then it behooves us to craft that gift as fine and true as we can, to make ourselves as deep and real, as filled with light, as beating with love, as grand and generous of spirits as our own struggles will allow.

asがfineやtrueの形容詞についているところなどが、よくわかりません。
コンマを多用した文の解釈も苦手です。

I learned that day the power of simply being myself, of being real, whatever that means in any given moment.

learnに目的語が二つ(that day/ the power of ~)というのも変だし
that節を導いていると考えると、動詞がないし・・・・

解釈できなかった場所を抜粋したので、上記の二つはつながってはおりません。
部分的に抜粋したので、前後の流れが把握していないと解釈も難しいとは思うのですが
的確な訳よりも、構造をして頂けると助かります。
宜しくお願いします。

ご覧の通り、as 〜 as に冒されておられる。as 〜 as でも、後ろのas が省かれている。この辺りを「省き」と見抜けるか、別な化け物と見るか、そこが分かれ目だ。

A 解釈より構文を、というお話なので、構文だけに絞ってお話ししましょう。最初に前提としてto craft と to makeの二つの不定詞はhooves us につながり同格だということを確認してください。

さて:

まずよくご存じの表現を見てください: Raise your hands as high as you can.
これは例のas~asですからいいですね。間に形容詞をはさむ有名な奴(笑)。

実はこの有名な奴がお尋ねの文章にあちこち使われているんだが、間にはさまる形容詞が一語でなく語群になっている、これが悩ましいところです。だが、それらが掴めれば上の例文と同じぐらい簡単に訳せるという理屈。ではそれらを抜き出してみましょう(例文の形容詞highに当たる部分を括弧でくくっておきます):

as (fine and true) as we can;
as (deep and real=A);
as (filled with light)=B);
as (beating with love)=C);
as (grand and generous of spirits=D )as our own struggles will allow.

例文のhighの部分がABCDと4種類連続して書かれ、we canにあたる部分がABCでは省かれて最後のDのところだけに書かれている、そういう構文なのです。どうですか、これで訳して見てください。

二つ目のご質問はあなたらしくないうっかりミスですね(笑)。that dayは副詞句、あの日というだけのこと。これは外して訳して見られると….。そうです、learnの目的語はただひとつthe powerだけです!。

ご参考まで。

……ということだ。二つ目のお尋ねはご愛嬌だったな。as 〜 asで真っ白になった頭はとかくこのような愚問を発するもの。この問答からの教訓は何か言えば、ズバリ頭を柔らかくして構文を観よ、ということだ。言われてみれば、なんのことはない。文を解析するときには、顕微鏡はいかん。広角レンズで俯瞰(ふかん)する感覚、これをお忘れなきように。

ご機嫌よう。

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