昨年の今頃、友人から頂戴した「玉藻」という俳句誌を楽しく読んでいた。そして、掲載されている味わい深い句の数々と先生の句のすばらしさに惹かれて入会したのが昨年6月。初めて投句した句が掲載されたのは10月号で、記念すべき玉藻1111号だった。
エックスに写真と俳句をアップし始めてから3年は経ったろうか。あくまでも勝手気ままな野良俳人だったのが、一家に住まわせていただくこととなったのだ。
そして誘われるまま昨年10月に句会デビューを果たした。今思へば、俳句についての勉強らしい勉強もせず、句会の段取りすら知らずに参加したのは「めくら蛇に怖じず」そのものだったと赤面する。高浜虚子由来の伝統ある結社の句会はそれなりにレベルが高かった。ちなみに俳句の会のことを「結社」ということを後で知った。どうしても「秘密結社」が連想されて怖いイメージがつきまとったものだが、最近やっと慣れて普通に「結社」を使えるようになったばかり。
句会で出句は匿名で行われ、誰の句かわからないまま全員が句を選ぶ。そこでは初心者もベテランも若者も老人も生徒も先生もない。すべての句が平等にまな板に乗せられ、選ばれた句が読まれたときに初めて作者が名乗りをあげて、誰の句なのかがわかる。たとえ先生でも誰からも選ばれない可能性があるというのが、すごい。
友人から教えていただきながら出句→清書→選句と進んだ。円陣になった20名が20枚の清書を順々に回しながら7句を選ぶ。20人掛ける7句=140句の中から良いと思った7句を30分ほどで選ばなければならず仰天した。30分÷140は13秒足らず。一句を13秒足らずで評価して書き写さなくてはならない。俳句はゆっくり味わうものだと思っていた私にとって、そのスピードは地獄のようだった。無我夢中で選句をし、終わった時には頭がオーバーヒート、息も絶え絶えの状態だった。見回すと、80を越えたような方々も涼しい顔でこなしていたので、恐ろしいところだと思った。
選句が終わると、参加者代表が全員の選句(140句)を読み上げ、読まれた句の作者が名乗りを挙げる。この時は下の名を名乗る。次に先生の選んだ句が読み上げられ、作者は姓名を名乗る。最後に先生の講評で解散となった。
人生初の句会は、選句のスピードについていけず疲労困憊になったけれど、先生が拙句を特選に選んでくださったので嬉しかった。嬉しいと同時に本当かしらといぶかったが、このような事が割合よくあるそうなので、先生がご挨拶の気持ちもあって特選に入れてくださったのだろうとわかった。なにしろ先生の御著書には、「俳句の原点、それは挨拶である」と書かれているのだ。
あれから半年。初心者マークのままながら句会への出席は二桁となり、やっと句会そのものにも選句のスピードにも馴れ、会員の方々と顔見知りになって気持ちが落ち着き、結社の一員としてやっていく目星がついた気がしている。
俳号には梟翁の名前から泰の字を借りた。少しでも上手く詠めるようにとのおまじないだ。家に入ったからには、お行儀良くちゃんとしなければならない。膨大な季語や言葉の使い方など勉強することがたくさんあって、一人前になるまで先は長いけれど、二人三脚のつもりで歩んでいこうと思う。
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