亡母、清賢さんの十三回忌を営むにあたり考へた。わが歳を思へば三十三回忌はあるはずもないから、追悼する行事はこれが最後になる。ひとつ、共々に思ひ出になるものにしたいものだ、と。ちなみに亡母は実名きよ、清賢は戒名の略称で、好んで私が愛誦してゐる。
わが宗旨は真言、佛教絡みの読み物もほどほどにするし高村光雲彫りの聖観音を供へて法華経第二十五を読むのが習慣だから、この手の法事の何たるかは承知してをる。法事には古来段取りがあり、導師を頼んで誦経《づきやう》を尽くして先祖の霊を敬ひ労わるのだが、清賢さんの十三回忌がわが家の法事の締めとなるとなれば、ここは一番、私ならではの工夫ができまいか、と考へたのである。
構想はさまざまに浮かぶ。
ひとつには、コロナ禍の砌《みぎり》すべて書き物にして一同に配り、それぞれに偲んでくれよと通達するのは如何。流石にそれは連れなからうと、立ち消え。ならば、法事感を一掃して何処かに一同の語り場を設えては如何か、の案。これも法事とは程遠い偲ぶ会で物足りなからう、とこれも立ち消え。
ならばと考え付いたのが、お経のテュッティつまり斉唱だ。読経慣れしてゐる私を”導師”に、参加者全員の一斉誦経で墓中の清賢さんを直《じか》に慰《なぐ》さめやうと云ふ企てだ。空前絶後の自前法事だが、兎角寺離れがすすむ昨今、残されたものの気持ちを表す今風な、ユニークな試みと自負してをる。
早速に日頃読んでゐる真言の経典を一纏めに一冊の調えて参加者に配布した。そこには開経偈から般若心経、十三仏真言、光明真言そして法華経普門品第二十五、最後に回向文で締めると云ふ本格的な誦経だ。ルビこそ振ってはゐるが、慣れぬものにはひと仕事だがそこが魂だ。一同それぞれに頑張ってくれれば、清賢さんへの何よりの手向けにならう。
焼香が済めば、並の法事なら導師の法話となるところだが、今次は導師紛ひとしてひとくさり語らねばなるまい。常軌を逸した法事だから、抹香離れもあらうから昨今の流行り病にこと掛けてグローバリズム絡みのリアリティーを暴くのも一興かと考へてをる。当日さうなるか否かは別として、こんな筋書きを思ひついた。ヴァーチャルにご披露しやうか。
「遠路遥々出向かれたものもあり、施主としてご一同には深々と感謝申し上げる。坊主もどきの話はよして、近頃の世間を眺めて思ひつくひと言をご披露する。
「ヴェニスの商人の例のユダヤ人、シャイロックが『肉はいいが血は一滴もならぬ』と言われて悔しがった、その恨みでもあるのだらうか。金造りのうまいユダヤ人、その中でも凄い奴二、三人が談合して世界を相手に商売を始めた。

「世界から国境を無くして一纏めに括《くく》る、同じ決まり事で括って仕舞ふ。地球の英語はグローブ、これ全体に行き渡ると云ふコンセプトがご一同が近頃よく聞くグローバリズムだ。この地球そのものを相手にどでかい商売を企んでゐるのが、これらのユダヤ人だ。ロックフェラーはそのひとり。」
「コロナが流行って世界が大揺れに揺れた。新型だから薬がない。それワクチンだ、と遺伝子組み換えの奴が出た。それも二、三社が手早く開発して出した。ウイルスをばら撒くからとマスク、マスクと地球上にマスク人が溢れた。
「仮の話だが、商売上手のユダヤ人たちがこの流行り病に便乗したらだうだらう。商品のコロナウイルスを手づくりて流行らせ、PCRの試薬やワクチンを拵へて提供し、移らないやうにとマスクを用意してゐるとしたらだうだらうか。仮の話にせよ酷すぎると顔を顰《しか》められやう。
「ご一同、今日は清賢さんの十三回忌、矢鱈な話はご法度だ。ひと言を締める前に、これだけは言っておきたい。今日ただ今、国籍不明の国際金融資本と云ふ実体があり、これが一手にコロナワクチン製造を引き受けてゐること、在庫がある限り販売を続けること、下請けのマスク企業も売り尽くしに精を出してをる。聞けば、資本系列は一貫してユダヤ系だ、と。さらに、自主性ない日本政府は、この一連のサイクルに諾々と乗っている、と。
「法事離れした話でご無礼した。あの世は知恵の世界とか、清賢さんはこれをすべて見通してをらう。私の口を通してこんな話をさせたのかも知れぬ。実家の法事はこれが最後、ご一同には、知恵の何たるかを弁へて、呉々も健康専一に過ごされたい。」
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