少年時代のスポーツは、高校時代こそ母校が名にし負う浦高とてサッカーに凝りはしたが、筆者は中学まで専ら卓球に明け暮れた。藤井某ともう一人、前荻村時代を統べた名選手がゐて、動画のない時代だからスチール写真で彼らの勇姿を見知って、我もいつかは、などと夢見てラケットを振ってをったものだ。
機転と知恵のスポーツ
卓球とは一種奇態なスポーツで、運動ながら機転に加えて咄嗟の知恵が肝要だ。秒単位で球が行き交ひ、それも左右前後にこれと決まらぬ球道をしかと捕らえねばならぬ。これは経験則が頼りの出たとこ勝負、応分の体力と並々ならぬ頭の働きなしでは成り立たぬ。
賢く俊敏な日本人は生来このスポーツに長け、藤井時代から荻村時代へ、日本は卓球で世界を制した。荻村時代にこれが支那に伝えられる。皮肉ながら卓球は、彼の地で根付き進化して国技となり、技術的にも彼国を頂点に別次元の球技として成熟、今日に至ってをる。それ以来雌伏数十年、此処に来てやうやく日本の卓球王国復活の兆しが出てゐる。
さう、本稿のテーマはその兆しの一つを熱っぽくご紹介してみやうとの企てだ。予め断っておくが以下はすべて筆者の私見で、内容の当否について異見を構えられても応じやうがない。その証しに、本稿で筆者は2021年末時点で活躍してをる選手たちへの言質を一切避けてをることにご留意願う。
「空」の奇跡

ある卓球ご夫婦がおられる。姓は松島、ともに現役時代に応分の活躍をされ、恵まれて四人の子女、男二人女二人がゐる。兄妹はそれぞれ名前に「空」の文字を織り込まれて元気に育った。輝空、翔空、美空、愛空の四人で、そら、とあ、みく、あいらと読む。この辺りですでにユニークな親子と読み取れる。さらに、この四人の子供たちがみな両親直伝の卓球を嗜み、並々ならぬ天分に恵まれ、すでにそれぞれの年齢層で驚天動地の活躍をしてゐると知れば、これは誰でも素直に驚く。
全日本卓球選手権最年少出場の記録を持つ長男の輝空は、中学生ながらもTリーグのチームに所属するプロ選手だ。長女の美空は今年の全国卓球大会バンビの部で優勝、続く翔空と愛空も凄まじいほどの卓球センスで兄姉を追いかける。両親の遺伝子を引き継いだとは云へ、四人が四人とも横並びの大活躍する有様は、俄に信じ難いとしたものだ。ぜひこの動画をご覧いただきたい。
日本卓球の復活
前述の如く、卓球は機転と知恵が味よく綯(な)はれて初めて真面(まとも)なスポーツになる。十四歳の長兄輝空が四方敵なしの活躍をしても、残り全員、五歳の末妹愛空まであたかも輝空のコピーのやうな卓球をして見せるとは!
卓球好きの筆者には、この四人兄妹の活躍に卓球王国日本の近未来が如実に見えるのだ。荻村、田中、松崎、星野らが世界を牛耳った夢の日々の再来を、松島兄妹の明日に期待してをる。
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