むず痒いが、このところ私のぢ様ムードが脚光を浴びている。巷の人手不足もあって、元気な年寄りはしっかり働くべしというかけ声が、ことさらに聞こえてくる。書きものが上げ潮で筆の走りもよくなっていることだから、私としてはこの風潮、大いに歓迎だ。
片や、日頃仕事の舞台にしているランサーズは、敬老の日を期して最高齢の私をモルモットに、生涯現役というキャンペーンを企画、何とこの私にツイッターを始めてほしいという。此方、これに同期するかのように天下の日経が、ギグエコノミー特集で私を取り上げた。符合にしては出来過ぎているが、どうも年寄りを働かせようというのは天下の風潮のようだ。
さて、日経電子版の記事が先日アップされた。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49607120Q9A910C1EE1000/?ap=1)
取材というのはあちこちから受けてはいるが、ギグ云々で名にし負う日経からというのは初である。ネットに棲み着いている「仕事人」群像はさまざまで、私はどうやら84歳の高齢という希少性に白羽の矢が立ったようであり、誇らしい限りだ。
1ヶ月ほど前の取材にはち切れるような才媛を寄越したあたり、流石日経らしい心遣いだ。勢い、こちらの応対も程々にテンションが挙がり、主題をはみ出す余談にまで及ぶ、味のある一刻(いっとき)になった。大凡の内容はご覧のとおりだが、ランサーズのK嬢にわが愚妻を交えた三対一の談義はまことにユニークで、ひとりぢ様の口調が渋く聞こえる場面が目立ったのが愉快だった。それでもギグエコノミーなる生活環境にどう馴染むかは、愉快の向こうに聳(そび)える厳としたチャレンジであろう。以て瞑すべし、である。
余談だが、矢鱈にはフォトジェニックでない私の髭面が、この取材の席で何故か映えたのはどんな加減だったろうか。取材に来られたカメラ嬢の腕と言えばそれまでだが、どうもそればかりではない。見るからに話に乗せられた者の浮揚感が滲んで見えるのだが、眇(すがめ)か。とまれ、問に答える自分の素顔がこれほど有機的に見えるとは、意外な発見だ。靖國で撮ってもらっているS氏のモノクロとは違った切り口の肖像画だ。至極気に入っている。
さしもの酷暑がここに来て一段落、菜園の菠薐草(ほうれんそう)が半寸ほどになった。めっきり落葉が目立ち、地面には裏返った蝉を見かける。秋の気配である。
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